植物の形態に関する解説

目次

1.花のつくり
2.花のつき方(花序)のいろいろ
3.葉のつくり
4.托様のいろいろ
5.葉脈
6.葉の形
7.葉辺のいろいろ
8.複葉のいろいろ
9.葉のつき方(葉序)のいろいろ
10.茎のいろいろ
11.茎の変態
12.木の高さ

1.花のつくり

 

a.雌蕊(しずい):花の中央に存在し、♀の生殖細胞を有していて後に種子・果実をつくる。普通「めしべ」という。
b.雄蕊(ゆうずい):雌蕊の外側にあり、♂の生殖細胞を有する。普通「おしべ」という。
c.花弁:雄蕊の外側にあって、雌蕊・雄蕊を保護する。一枚一枚を花弁(普通には花びら)といい、まとめてよぶときは「花冠(かかん)」という。
d.がく片:花弁の外側にあって、花弁と共に、雌蕊・雄蕊を保護する。離片がくと合片がくがあり、離片がくの一枚一枚をがく片、がく片をまとめて「がく」、合片がくの筒状になっているものを「がく筒」という。

○花とは、基本的に植物の生殖器官のことなので、雌蕊・雄蕊の両方又は、片方があれば、花であるといってもよいが、普通、花という場合は、雌蕊・雄蕊・花冠・がくの4つがら成りたっている部分を指す。

e.花托(かたく):花梗の先端の花をつけているところで、「花床」ともいう。花軸に直接花がのっていることがあり、花軸のその部分を花托という。
f.花梗(かべん):一個一個の花の柄。「花柄」ともいう。
g.苞:花梗の一部で、主にその基部に生じる小形の葉のことをいう。花をその発育途中において保護する。
h.花軸:いくつかの花梗が集まってひとつになった軸で、「花茎」ともいう。
i.総苞:花軸の一部で、主にその基部に生じる小形の葉のことをいう。多数ある場合は、一片一片を「総苞片」という。発育の途中で、多くの花全体を保護する。

○花冠・がくを含め、これらは、ある場合もあればない場合もある。

 

○花の成り立ちのいろいろ

 いろいろな形態の花があるが、その成り立ちは、前図が基本になっているので、位置関係を調べれば、どれがどの部分にあたるかわかる。 

a.タンポポ

a.キクやタンポポの花は、一枚一枚の花びらに見えているのが、実は一個一個の花である。花梗が無く、花軸の先端に花が集まってついているわけであり、がくの様に見えているのは、花軸についている葉、つまり総苞である。

b.チューリップ

b.チューリップなど、ユリ科の花をよく見ると、花びらに見えるもののうち、内側についているものと外側についているうものがある。同じ花びらに見えても、花の成り立ちから見ると外側のものはがく片である、といえるが、この様に花びらとがく片の質が同じで、区別がつかない時は、両方合わせて「花蓋(かがい)」といい、内側の花冠に相当するものを「内科蓋」、外側のがくに相当するものを「外花蓋」という。(一枚一枚をいうときは、「花蓋片」という。)

c.ドクダミ

c.ドクダミでは、花冠もがくもない花が穂状に集まってつく。白い花びらのように見えるのは総苞である。

d.アジサイ

d.チューリップでは、がく片も花びらのように美しく目立つが、アジサイの場合は、花弁はほとんど目立たず、がく片がまるで花びらのように見える。

2.花のつき方(花序)のいろいろ

a.総状花序:花軸に花柄のある花が側生してついている。下から咲いていく。

b.散房花序:総状花序の一種で、下の方の花柄は長く、上のほうのは短い花がほぼ一面にならんでいる。

c.散形花序:花軸の先端に数個の花柄の長い花が傘の骨の形についている。サクラソウなど。

d.頭状花序:ひらべったい花軸の頂端に花柄のない花が多くついている。ヨメナなど。

e.巻散花序:ふしから花柄が1本ずつ片方だけに出るので、まがってまるくなる。ワスレナグサなど。

f.穂状花序:長い花軸のまわりに花柄のない花がついている。オオバコなど。

g.集散花序:花柄の基部から別の花の柄が出る。

h.円錐花序:複総状花序とも言い、総状花序の軸がさらに分枝し、最終の軸に花を着けるもの。

i.尾状花序:穂状花序の一種で、尾状に垂れ下がるもの。クリ、クルミなど。

j.松かさ状花序:松かさのようにまるくつく花序。

k.肉穂花序:穂状花序と似ているが、花軸が肉質になっている。普通、仏炎苞を伴う。ミズバショウ、マムシグサなど。

l.杯状花序:杯状の総苞の中に、1この雄しべからなる雄花多数と、1個の雌しべからなる雌花1個を入れている花序。トウダイグサ属など。

3.葉のつくり

a.葉身:葉の本体ともいうべき部分で、普通は扁平。
b.葉柄:葉身を支え、物質の通路となる。
c.托様:葉の基部にある小さな葉状のもの。サルトリイバラを除く単子葉植物と、松柏類には無い。

この3つが備わっているのが葉の基本で「完全葉」といい、ひとつでも欠けていれば「不完全葉」という。

これらの一部が変形し、葉の基部を囲む鞘のようになったものを「葉鞘(ようしょう)」という。

4.托様のいろいろ

ハリエンジョ
タチツボスミレ
サルトリイバラ
ヨツバムグラ

5.葉脈

 物質の通路である維管束は、葉身に入って葉脈となり、葉身全体に連絡して葉脈系を形成する。大別すると次の3種になる。

a.遊離脈:脈の先端が離れて連絡の無いもの。下等な植物に多く、シダ類の葉脈は普通この型である。他にイチョウが良い例。

b.平行脈:例外はあるが、単子葉類植物の特徴。同じ太さの脈が、多数平行して走っている。

c.網状脈:双子葉植物のほとんどがこの型。主脈から側脈(支脈)が出て、さらに細い脈が網の目のように連絡している。葉状脈と掌状脈(しょうじょうみゃく)がある。

6.葉の形

 葉身の形によって、葉状葉、掌状葉、楯状葉、扇状葉に大別される。

 

−葉状葉−

 大部分の葉がこれである。全体として鳥の羽の形を成すが、図の様に、さらに様々な形に別れる。

−掌状葉−

中央脈が無く、葉柄に続いて数本の支脈が掌状に広がる。

−楯状葉−

円形の葉身の中央に葉柄がつき、支脈は中央から放射状に広がる。

−扇状葉−

葉脈は末広がりに葉緑に達し、扇型となる。

7.葉辺のいろいろ

a.全緑:まったく切れこみがない。

b.羽状浅裂:わずかな切れこみはあるが、主脈と葉辺との中間には達しない。

c.羽状尖裂(中裂):切れこみが主脈と葉辺との中間に達する。

d.羽状深裂:主脈の近くまで裂けている。

e.羽状全裂:切れこみが中央脈まで達している。

f.鋸歯状:上向きで鋭い歯を有する。

g.下向鋸歯:下向きで鋭い歯を有する。

h.缺刻状:大小不整の深い尖歯を有する。

i.歯牙:鋭いが角度の大きい歯を有する。

j.重鋸歯:鋸歯が二重になっている。

k.耳裂:浅裂の変形で先端がするどくない。

l.波形:浅く波をうった形。

m.深波形:深く波をうった形。

8.複葉のいろいろ

 葉深がいくつかの小葉に分かれているものを複葉という。

A.羽状複葉:羽状の単葉がいくつかの小葉に分かれたもの。

a.奇数羽状

b.偶数羽状

c.二回羽状

B.掌状複葉:葉柄の先端が数個の小葉が放射状に出ている複葉。

a.三出複葉
b.二回三出複葉
c.五出複葉
d.鳥足状

C.単身複葉:葉は一見複葉ではなく単葉のように見える。
     

9.葉のつき方(葉序)のいろいろ

a.互生:各節に1個の葉がつく。葉序の中でも原始的。

b.対生:各節に2枚の葉が向かい合ってつく。

c.輪生:各節に3枚以上の葉がつく。

d.根生:タンポポ、ダイコンの根生葉などで互生の特殊形態。

10.茎のいろいろ

[直立茎]
[平行茎]
[巻きつき茎]

主軸が直立する茎。
ブタクサ・メナモミ

地面にはうようになる茎。
スベリヒユ

他のものにまきついて上方へ成長していく茎。
アサガオ

[よじのぼり茎]
[短縮茎]
[多肉茎]

巻きひげや不定根で物にからみついて植物体を上方へのばす。
エンドウ・ツタ

茎が短く葉がつぎつぎにつく。
タンポポ

茎が肥大した肉となり、葉は退化している。
サボテンの類

[浮茎]
[地下茎]
[花茎]

水の中にはえる維管束植物で、水にうかぶもの。
バイカモ

地下に存在する茎。
アマドコロ・タケの類

花をつける茎。普通ロゼット状の株から直接出て花をつけるものをいう。
タンポポ・ネギ

11.茎の変態

 本来の茎の姿とは著しく相異した形や機能をもつが、もともとは茎に相当する部分であると判断される主なもの。

○地上にあらわれるもの

[走茎]

茎が極端に細長くのびてその先に芽をつくり、その芽から不定根を出して新しい植物体を栄養増殖の形でふやすしくみをもつ。
オリヅルラン・オランダイチゴ・ユキノシタ

[肉茎]
[珠芽(鱗芽)]
[巻きひげ]

枝が球状に肥大して栄養増殖のはたらきをする。
ヤマノイモ

葉腋に生じ、鱗片状の球となり、栄養増殖に役立つ。
オニユリ

シュート(葉のついた茎)が細長くなって巻きひげとなったもの。
ブドウ

[とげ]
[扁茎(葉状茎)]

シュートが針状のとげとなったもの。
カラタチ

葉のような形になったもの。
ナギイカダ

○地下にあらわれるもの

[塊茎]
[球茎]

茎が肥大して球状となって増殖のはたらきをもつ。球茎とはちがって、外皮をもたない。
ジャガイモ

短い茎に養分を貯えて典型的な球状になったもの。魂茎より芽が少ない。
シクラメン・コンニャク・サトイモ

[鱗茎]
[根茎]

茎が短縮して扁平な形になって、鱗片葉の基部についているもの。
タマネギ・チューリップ

茎が地中を横に走る。
ハス・ワラビ・ナルコユリ

12.木の高さ

(注)それぞれに厳密的な境界があるわけではなく、便宜的な区分である。

 
根ぎわから枝分かれ。
幹が太く高く中部以上から枝を出す。

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